「海水魚は水づくりが難しそう」「カクレクマノミなら初心者でも飼えると聞くけれど、本当に大丈夫なのか」——そんな不安に答えるために、カクレクマノミの飼い方を初心者向けにまとめました。水温と比重の目安、水槽の大きさ、同居できる数、迎える手順まで、順番に確認できます。
カクレクマノミは、スズメダイ科クマノミ属の海水魚で、学名は Amphiprion ocellaris です。インド洋から太平洋のサンゴ礁に生息し、日本では沖縄県周辺の海で見られます。成魚の体長は5〜12cm前後、寿命は6〜12年程度と長く、海水魚の中では丈夫な入門種とされます。2匹を迎えると、ペアになっていく様子を水槽で観察できるのも、楽しみのひとつです。
結論から言うと、カクレクマノミは海水魚の中では飼いやすい部類ですが、淡水魚と同じ手軽さでは始められません。海水の素、比重計、ヒーター、ろ過を整え、水槽を立ち上げてから魚を迎えることが前提です。同じ水槽に入れるカクレクマノミは2匹程度までで、30cmクラスの小型水槽は水質が変動しやすく、失敗が多くなります。水温25℃前後を保ち、立ち上げと水合わせに時間をかけることが、飼育を成功させる土台です。
先に結論
体長5〜12cmのカクレクマノミは、水温25℃前後・比重1.023前後に保てる水槽なら、初心者でも育てられる入門種です。水槽は60cmクラス(60L以上)が推奨で、同種は2匹程度まで。餌は小型海水魚用の人工飼料を、食べ残しが出ない量で与えます。ただし、立ち上げの手間と費用は淡水魚より大きくなります。
カクレクマノミの基本データ:学名・体長5〜12cm・寿命6〜12年・水温25℃前後
サンゴ礁にすむカクレクマノミは、成魚でも体長5〜12cm前後の小型魚です。体長、寿命、水温、比重には幅があるため、表では範囲で示し、後の章で「どこに合わせるか」を決めていきます。
カクレクマノミの基本データ
| 項目 | 内容(目安) |
|---|---|
| 名前 | カクレクマノミ |
| 学名 | Amphiprion ocellaris |
| 分類 | スズメダイ科クマノミ属 |
| 原産地・分布 | インド洋〜太平洋のサンゴ礁。日本では沖縄県周辺 |
| 体長 | 5〜12cm前後 |
| 寿命 | 6〜12年程度 |
| 適水温 | 25℃前後を基準に、23〜30℃の幅(ヒーターで保つ) |
| 適正比重 | 1.020〜1.026(中ほどの1.023前後が無難) |
| 適水質(pHなど) | 確認が必要 |
| 水槽の大きさ | 30〜75cmクラス。60cm・60L以上が推奨 |
| 混泳(縄張り) | 同種は2匹程度まで。クマノミの仲間・スズメダイ科は避けるか注意 |
| 餌 | 小型海水魚用の人工飼料。ブラインシュリンプなどは補助 |
| 飼育難易度 | ★★★☆☆(海水魚では入門種。ただし淡水魚より手間と費用がかかる) |
| 性格・特徴 | 縄張りを守り、ペアができると同種のほかの個体を攻撃しやすい |
この記事の数値は、すべて Amphiprion ocellaris を前提にしています。見た目の似た Amphiprion percula(クラウンアネモネフィッシュ)は別種として扱われるため、購入するときは、学名か種類名をショップで確認してください。
体長と寿命の幅は、個体や飼育環境の違いから生まれます。水槽は、成魚が12cm近くまで育つ場合と、6〜12年という寿命の両方を見込んで選びます。
カクレクマノミの飼い方を初心者が始める条件:入門種でも手間と費用は淡水魚より大きい
体長5〜12cmの小型魚で、海水魚の中では丈夫とされるカクレクマノミは、海水魚を初めて飼う人の入門種です。先に結論です。条件を整えれば初心者でも飼えますが、難易度は★★★☆☆と見ています。
飼いやすい理由のひとつは、餌です。粒・フレーク・タブレットなど、小型海水魚用の人工飼料で足りるため、生き餌を用意する必要がありません。国内で繁殖された個体(CB)を選べば、さらにハードルが下がります。
一方で、淡水魚と同じ感覚では始められません。海水の素で海水を作り、比重計で濃さを測り、ヒーターで水温を保ちます。ろ過と水流の設備も要り、立ち上げには最低1週間の空回し、余裕をみて約1か月の期間がかかります。必要な設備と立ち上げの期間が増える分、費用と手間は淡水魚より大きくなります。淡水の熱帯魚で水作りを経験した人も、基本は熱帯魚の水作りと水合わせのコツで確認しつつ、海水では比重の管理が加わると見てください。
つまずきやすい場面は、次の4つです。対策は、この先の章で順に示します。
- 30cmクラスの小型水槽で、水質が乱れる
- 持ち帰った魚を、すぐ水槽に入れてしまう
- 野生採取個体(WD)が、人工餌を食べない
- 同種を3匹以上入れて、縄張り争いになる
初心者が誤解しやすい点
「丈夫な魚だから、水温や水質が多少乱れても大丈夫」という考えは危険です。カクレクマノミが丈夫とされるのは海水魚の中での話で、水温や水質が急に変わると体力や免疫が落ち、白点病にかかりやすくなります。体長5〜12cmの小さな魚でも、小さな水槽で足りるとは限りません。
カクレクマノミの水槽環境:水温25℃前後・比重1.023前後・60cmクラスが基準
サンゴ礁の海にすむカクレクマノミは、水温と比重が安定した人工海水で飼うことが前提です。押さえるのは、水温、比重、水槽の大きさ、フタと隠れ家、立ち上げの期間の5点です。
水温は25℃前後で固定し、ヒーターで保つ
適水温は23〜30℃と幅があります。幅の端に近い水温を続けるより、25℃前後を中心に24〜26℃へ収めるほうが、どの目安にも合い、上下どちらの端にも余裕が残ります。ヒーターの設定を信じ切らず、水温計で実際の水温を毎日確認してください。
水温は25℃前後で固定し、日によって動かさないことが、白点病を避けるための基本です。水温や水質が急に変わると、体力や免疫が落ちて病気にかかりやすくなるためです。
夏に室温が上がる部屋では、水温が適水温の上端に近づくおそれがあります。冷却が必要か、必要ならどの機器を選ぶかは、水槽の大きさと部屋の環境で変わります。水槽を購入するショップに、迎える前に相談してください。
比重は1.023前後に合わせる
比重は海水の濃さを示す数値で、カクレクマノミでは1.020〜1.026の幅があります。幅の中ほどにあたる1.023前後に合わせると、上下どちらにも余裕が残ります。海水の素を水に溶かして作り、比重計で測ります。
水換えに使う海水も、水槽に入れる前に比重と水温を水槽の水に近づけます。濃さや温度の違う水を一度に入れると、水槽の中で急な変化が起きるからです。
水槽の大きさは60cmクラスを基準にする
水槽の大きさは、30〜75cmクラスの幅があります。小さな水槽ほど水質が変動しやすく、逆に水量が多いほど変動はゆるやかになります。
| 水槽の大きさ | 位置づけ | 水質の安定 | 初心者への向き |
|---|---|---|---|
| 30cmクラス | 飼育はできるが難易度が上がる | 変動しやすく、失敗が多い | 避けたほうが無難 |
| 45cm(レギュラー) | 定番とされるサイズ | 30cmより水量が多く、ゆるやか | 設備を整えれば選択肢 |
| 60cm(60L以上) | 推奨されるサイズ | 水量があり、変動がゆるやか | 最初の1台に向く |
| 75cm以上 | 最適とされるサイズ | 水量の余裕が大きい | 設備と費用も大きくなる |
迷うなら、60cmクラス(60L以上)を基準にします。置き場所の都合で難しい場合は、45cmを下限と考えます。
フタと隠れ家で、飛び出しとケンカに備える
カクレクマノミは水槽から飛び出すことがあるため、フタが必要です。給餌のとき以外は閉めておきます。
隠れ家には、流木やライブロックを使います。2匹を迎えると、ペアになるまでは一時的なケンカが起きやすくなります。追われた個体が逃げ込める場所が複数あるように、流木やライブロックを配置します。イソギンチャクを隠れ家の代わりにする方法は、初心者には向きません。難しさの理由は、混泳の章の表で扱います。
魚を入れる前にろ過を回す期間
ろ過を回して水槽を準備してから、魚を入れます。目安は、最低1週間の空回しから、約1か月の立ち上げまで幅があります。ろ過の中でバクテリアが育つのに時間がかかるため、水槽を組んだその日に魚は入れられません。最低ラインの1週間より、余裕をみた約1か月を選ぶのが、初心者には安全です。
空回しの間は、水温が25℃前後で動かないか、比重が1.023前後で落ち着いているか、フタが水槽に合っているかを確認します。どの状態になれば迎えてよいかは、購入予定のショップに基準を聞いておくと判断しやすくなります。
カクレクマノミの迎え方:CB個体を選び、水合わせに時間をかける
沖縄周辺からインド洋〜太平洋まで広く分布するカクレクマノミは、同じ名前で売られていても飼いやすさが違います。国内で繁殖された個体と、野生で採取された個体で差が出るためです。購入前に確認する点を、5つに絞ります。
ショップで確認する5つのこと
- 種類:Amphiprion ocellaris であること。クラウンアネモネフィッシュとの取り違えを防ぎます。
- 生まれ:国内繁殖個体(CB)か、野生採取個体(WD)か。CBは飼育しやすく、WDは輸送のダメージや人工餌を食べないことがあり、ハードルが上がります。初心者はCBを選びます。
- 餌付き:店で与えている餌の種類と、人工飼料を食べているところ。WDしかいない場合は、CBの入荷を待つか、食べているのを確認してから決めます。
- 体の状態:白点病にかかりやすい魚なので、体の表面と泳ぎ方を見て、気になる点があれば店員に聞きます。同じ水槽のほかの個体も見ます。
- 店の水の条件:水槽の水温と比重。自宅の水槽との差がわかり、水合わせをどこまで慎重にするかの材料になります。
水合わせは時間をかけ、手順は購入店に従う
持ち帰った魚をすぐ水槽に入れると、袋の水と水槽の水の質の差で、ショック死するおそれがあります。水合わせは、その差を少しずつ縮める作業で、時間をかけるのが原則です。
手順と所要時間は、魚の状態と水槽の条件で変わるため、購入するショップの説明に従ってください。水合わせは短縮できない作業なので、迎える日は、十分な時間を確保できる日に決めます。2匹を迎える場合は、同じ日に水槽へ入れる計画にします。理由は混泳の章で扱います。
カクレクマノミの餌と日々の管理:1日1〜3回、食べ残しを出さない量
カクレクマノミは、小型海水魚用の人工飼料(粒・フレーク・タブレットなど)で飼えます。ブラインシュリンプやイサザアミは補助的に与えるもので、人工飼料だけでも飼えるため、最初から用意する必要はありません。
給餌の回数は1日1〜3回の幅があり、いずれも少量ずつです。迷うなら1日2回から始め、食べ残しが出たら回数ではなく1回の量を減らします。餌の量は、回数ではなく「食べ残しが出ないか」で決めます。食べ残しは水質悪化につながり、水質の乱れは体力を落とす原因になるためです。
食べないときに疑う順番
- 野生採取個体(WD)ではないか:人工餌を食べないことがあります。店で何を食べていたかを聞きます。
- 水温や比重が急に動いていないか:急変は体力を落とします。水温計と比重計で確認します。
- ペアになる前のケンカで、餌に近づけない個体がいないか:隠れ家を増やします。
- 体に白い点がないか:見つけたら白点病を疑い、専門店に相談します。
毎日の点検と、水換えの考え方
毎日の点検は、水温、2匹の位置と動き、餌の食べ方、体の白い点の4つです。給餌のついでに見られるので、手間は増えません。
比重の確認と水換えの頻度・量は、水槽の大きさと魚の数で変わります。数値はショップで基準を聞き、決めて続けてください。水換えに使う海水は、水温と比重を水槽の水に合わせてから入れます。
カクレクマノミの混泳・多頭飼育:同種は2匹程度まで、近縁種とスズメダイ科は避ける
縄張りを守る性質があるカクレクマノミは、同種でも他種でも、同じ水槽に入れる相手と数を絞る必要があります。
同種は2匹程度まで、ペアができると他の個体を攻撃する
同じ水槽に入れるカクレクマノミは、2匹程度までが目安です。ペアができると、そのペアはほかのカクレクマノミを攻撃しやすくなります。同種は2匹程度までを上限にすると決めてから、水槽の大きさと匹数を選びます。
- 1匹:同種間のケンカは起きません。
- 2匹:ペアの様子を観察できますが、ペアになるまでは一時的なケンカが起きやすくなります。
- 3匹以上:ペアになれなかった個体が攻撃を受けやすいため、避けます。
2匹飼いのケンカは「後から足す」と起きやすい
2匹飼いのケンカは、ペアになるまでの一時的なものです。とくに、後から小さな個体を足したときに目立ちます。2匹で飼うなら、最初から2匹を同じ日に迎える計画にし、隠れ家を複数用意しておきます。
追い回しが落ち着かず、片方が隠れたまま餌を食べないときは、購入店に相談してください。
ほかの生き物との相性
| 相手 | 相性 | 理由と対応 |
|---|---|---|
| ほかのクマノミの仲間・近縁種 | 避けるか注意 | 縄張り争いになりやすい。見た目の似たクラウンアネモネフィッシュも同じ扱い |
| スズメダイ科の魚 | 避けるか注意 | 縄張り争いになりやすい。カクレクマノミ自身もスズメダイ科 |
| ハゼ類 | 合うとされる | 住み分けができる。種類ごとの相性はショップで確認 |
| イソギンチャク | 難易度が高い | 水槽での飼育は難しく、育つかどうかは照明・水流・水質が合うかで決まる。最初の水槽では見送り、入れるなら購入店に条件を確認する |
| 上記以外の魚 | 確認が必要 | 大きさと性質を、迎える前にショップで確認する |
ハゼ類は住み分けができるため合うとされますが、ハゼ類にも多くの種類があります。同居させるなら、種類名を伝えてショップで相性を確かめてください。混泳の決め手は、縄張り争いになりやすいクマノミの仲間とスズメダイ科の魚を、同じ水槽に入れないことです。初心者は、カクレクマノミだけの水槽で始めるのが手堅い選択です。
カクレクマノミがかかりやすい白点病とトラブル:水温・水質の急変を避ける
カクレクマノミがかかりやすい病気として挙がるのは、白点病(海水白点病)です。水温や水質の急変、ストレスで体力や免疫が落ちると、病気になりやすくなります。あくまで一般的な目安であり、治療を保証するものではありません。判断に迷う場合や症状が重い場合は、早めに専門店や魚を診られる動物病院に相談してください。
| トラブル・病気 | 主な症状 | 考えられる原因 | 初期対応・注意点 |
|---|---|---|---|
| 白点病(海水白点病) | 体に白い点が見える | 水温や水質の急変、ストレスで体力・免疫が低下 | 水温と水質を安定させ、早めに専門店へ相談。自己判断で薬を重ねない |
| 水合わせ不足のショック | 迎えた直後に弱る。最悪の場合は死ぬ | 袋の水と水槽の水の質の差 | 次の導入から水合わせに時間をかける。手順はショップに従う |
| ペア形成中のケンカ | 追い回される。片方が隠れる | ペアになるまでの縄張り争い。後から小さな個体を足した場合に多い | 隠れ家を増やす。長引くときは購入店に相談 |
| 食べ残しによる水質悪化 | 底に餌が残る | 1回の量が多い | 量を減らし、食べ残しは取り除く |
予防の要点は、急変を作らないことです。急変が起きやすい場面は、次の4つです。
- ヒーターの不具合で、水温が動いたとき
- 水換えの海水の水温や比重が、水槽と違うとき
- 魚を迎えるときの水合わせが、足りないとき
- 夏の室温で、水温が上がるとき
毎日の水温確認と、水換えの海水を水槽に合わせる作業が、そのまま予防になります。白点病の予防は、薬ではなく、水温と水質を急に変えないことから始まります。
薬の使用について
カクレクマノミの体に白い点が出ても、白点病とは限らず、別の原因の場合があります。薬は量や使い方を誤ると、魚への負担が大きくなります。購入した店や、魚を診られる動物病院に相談してから選び、製品の用法・用量を守ってください。イソギンチャクなど他の生き物と同居している場合は、その生き物に薬が使えるかも先に確認します。
カクレクマノミを飼う前の判断表:状況別にどう決めるか
縄張りを守る体長5〜12cmのカクレクマノミは、水槽の大きさ、個体の選び方、同居させる相手の3点で、飼い方が大きく分かれます。ここまでの条件を、状況ごとの判断に置き換えて、表にまとめます。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 置ける水槽の大きさが決まっていない | 60cmクラス(60L以上)を基準にする。置き場所に限りがあれば45cmまで | 30cmクラスは水質が変動しやすく、失敗が多い |
| 店にいるのが野生採取個体(WD)だけ | CBの入荷を待つ。待たないなら、人工飼料を食べる姿を確認してから決める | WDは輸送のダメージや、人工餌を食べないことがある |
| すでに1匹いて、2匹目を足したい | 足すこと自体のリスクを理解し、隠れ家を増やしてから購入店に相談する | 後から小さな個体を足したときにケンカが多い |
| 群れで泳がせたい | カクレクマノミは2匹程度までにする。魚を増やすなら、合うとされるハゼ類を店で相談する | ペアができると、ほかのカクレクマノミを攻撃しやすい |
| ほかのクマノミやスズメダイ科も飼いたい | 同じ水槽に入れず、別の水槽で飼う | 縄張り争いになりやすい |
| イソギンチャクも入れたい | 最初の水槽では見送り、飼育が安定してから条件を店に確認する | 水槽では難易度が高く、照明・水流・水質が合うかで決まる |
| 夏の室温が高い部屋に置く | 冷却の要否と方法を、購入前にショップへ相談する | 適水温の上端は30℃までの幅がある |
当てはまる行が複数あるときは、その状況をまとめてショップに伝えて相談すると、話が早く進みます。迷ったときは、匹数を増やさず、同居させる種類を足さず、水槽を小さくしない方向で決めると、失敗の芽を減らせます。
実例メモ:60cm水槽でカクレクマノミ2匹を迎えるならこうする
ここで紹介するのは、国内繁殖個体のカクレクマノミ2匹を、60cmクラス(60L以上)の水槽に迎える場合の計画の一例です。実際の飼育記録ではなく、これまでの条件を組み合わせた提案として読んでください。
水槽にはフタをつけ、ヒーターで水温25℃前後、海水の素で比重1.023前後に合わせます。隠れ家には流木とライブロックを複数置き、イソギンチャクと他の魚は入れません。水槽は約1か月かけて立ち上げ、2匹は同じ日に迎えます。餌は小型海水魚用の人工飼料を1日2回、食べ残しが出ない量で与えます。この計画の狙いは、水質の乱れとペア形成中のケンカという2つの失敗要因を、水量の余裕と複数の隠れ家で受け止めることです。
最初の30日で見るポイント
数え方は、2匹を水槽に入れた日を1日目とします。立ち上げは、その前に終わらせておきます。
- 1週目:迎えた日は水合わせに時間をかけ、手順は購入店の指示に従う。入れたあとは、水温が25℃前後か、2匹とも姿が見えるか、人工飼料に反応するかを毎日確認する
- 2週目:2匹の関係を見る。追い合いがあっても、隠れ家に逃げ込めて餌を食べられていれば、ペアになるまでの一時的なケンカの範囲と考える。追い回しが続いて片方が出てこないなら、隠れ家を増やす
- 3週目:食べ残しの量を見て、1回の餌の量を調整する。水温と比重が日によって動いていないかを点検し、水換えの頻度と量は、購入店に聞いた基準で決めて実行する
- 4週目:2匹の追い合いが落ち着いているかを確認する。落ち着いていれば、ハゼ類を足すか検討する。足さずにカクレクマノミだけで続ける選択も、初心者には十分に成り立つ
初心者が迷いやすい判断を表にすると
| 見るポイント | 安心できる状態 | 見直したいサイン |
|---|---|---|
| 水温 | 25℃前後で、ほとんど動かない | 日によって上下する。ヒーターの設定と水温計の値が合わない |
| 比重 | 1.023前後で、日に日に動かない | 1.020〜1.026の範囲を外れる。水換えのたびに動く |
| 餌食い | 人工飼料にすぐ反応し、食べ残しが出ない | 食べ残しが底に残る。人工飼料に反応しない |
| 2匹の関係 | 追い合っても隠れ家に逃げ込め、日を追って落ち着く | 追い回しが続き、片方が隠れたまま出てこない |
| 体の表面 | 白い点がない | 白い点が見える |
お迎え前チェックリスト
- ろ過を最低1週間、できれば約1か月回した
- 水温25℃前後・比重1.023前後で安定している
- フタと、流木・ライブロックの隠れ家を用意した
- 種類とCB個体かを確認し、水合わせの手順も聞いた
- 迎えるのは2匹までで、同じ日に入れる計画にした
カクレクマノミを飼う前に知っておきたい注意点:寿命6〜12年と海に放さない責任
体長5〜12cmの小さな魚でも、カクレクマノミは6〜12年付き合う生き物です。飼う前に、次の3点を確認してください。
- 寿命:6〜12年程度と長く、引っ越しや生活の変化があっても世話を続けられるかを、迎える前に考えます
- 費用と手間:海水の素、比重計、ヒーター、ろ過、水流の設備が要り、立ち上げにも期間がかかります。金額は水槽の大きさと店で大きく変わるため、購入前にショップで見積もりを取ります
- 毎日の点検:水温、餌の食べ方、体の白い点を毎日見ることが前提です。急変に早く気づけるかどうかが、白点病の予防につながります
6〜12年という寿命は、水槽を立ち上げる約1か月より、ずっと長い付き合いです。最初の準備だけでなく、毎日の点検を続けられるかどうかで、飼い続けられるかが決まります。
絶対にやってはいけないこと
飼えなくなったカクレクマノミを、海に放してはいけません。人工海水の水槽で育った個体が、自然の海で生き延びる保証はありません。飼育個体や水槽の水を通じて、病気を持ち込むおそれもあります。たとえ沖縄周辺に生息する種類でも同じです。手放すときは、購入した店や海水魚の専門店に、引き取りや譲渡先を相談してください。
カクレクマノミの飼育に向いている人・向いていない人
体長5〜12cmの小さな魚でも、設備と手間の面で向き不向きがあります。自分に合っているか、表で確認してみてください。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 水槽を約1か月立ち上げてから、魚を迎えられる | 水槽を買ったその週に、魚を入れたい |
| 60cmクラスの水槽を置ける | 30cmクラスの水槽だけで始めたい |
| 毎日、水温と餌の食べ方を確認できる | 水温や比重の確認を、習慣にできない |
| 同種は2匹までと割り切れる | 群れで多数を泳がせたい |
| 6〜12年、世話を続ける見通しがある | 数年のうちに、暮らしが大きく変わる予定がある |
向いている人の列に当てはまらない項目があれば、その項目を整えてから、魚を迎える日を決めます。準備が先で、魚の購入は最後にする順番を守ると、立ち上げの失敗を減らせます。
よくある質問(FAQ)
Q1. カクレクマノミは初心者でも飼えますか?
条件つきで飼えます。海水魚の中では丈夫な入門種ですが、海水の素・比重計・ヒーター・ろ過をそろえ、水槽を立ち上げてから迎える手間があります。60cmクラスの水槽と水温25℃前後を、最初の目安にしてください。
Q2. 30cm水槽でも飼えますか?
飼えますが、難易度が上がります。30cmクラスは水質が変動しやすく、失敗が多いためです。定番は45cm、推奨は60cm・60L以上なので、置き場所に余裕があれば大きいほうを選びます。
Q3. 何匹まで一緒に飼えますか?
同種は2匹程度までです。1匹だけなら同種間のケンカは起きませんが、2匹目を後から足すと、ケンカが起きやすくなります。2匹で飼うなら、最初から同じ日に迎える計画にします。
Q4. イソギンチャクは必要ですか?
初心者の最初の水槽では、入れない判断が現実的です。水槽でのイソギンチャク飼育は難易度が高く、育つかどうかは照明・水流・水質が合うかで決まります。カクレクマノミだけで始め、隠れ家には流木やライブロックを使います。
Q5. 餌は人工飼料だけで足りますか?
小型海水魚用の人工飼料(粒・フレーク・タブレットなど)だけで飼えます。ブラインシュリンプやイサザアミは補助的に与えるもので、必須ではありません。1日1〜3回、少量ずつ、食べ残しが出ない量で与えます。
Q6. 寿命は何年ですか?
6〜12年程度です。飼育環境や個体によって差があります。長い付き合いになるため、水槽の大きさと、毎日の点検を続けられるかを、迎える前に決めておきます。
Q7. クラウンアネモネフィッシュと一緒に飼えますか?
避けるか、注意が必要です。Amphiprion percula は別種として扱われますが、クマノミの仲間は縄張り争いになりやすいためです。混ぜるより、種類ごとに水槽を分ける判断が確実です。
Q8. 夏に水温が上がったらどうしますか?
適水温は23〜30℃の幅で、25℃前後が基準です。室温が上がる部屋では、水温が上端に近づくおそれがあるため、冷却の要否と方法を迎える前にショップへ相談してください。水温計で毎日確認し、急に動かさないことも大切です。
Q9. 淡水や水道水だけで飼えますか?
飼えません。サンゴ礁の海水で暮らす魚なので、海水の素で作った人工海水を使い、比重を1.020〜1.026の幅に収めます。中ほどの1.023前後が無難です。
まとめ
カクレクマノミは、サンゴ礁の海にすむ体長5〜12cmの小さな魚で、水槽の中でも縄張りとペアの関係を観察できる魚です。
初心者でも飼えるかという問いには、条件がそろえば飼える、と答えられます。海水魚の中では丈夫な入門種ですが、水槽を立ち上げてから迎える手間と、淡水魚より大きい費用がかかります。水温25℃前後と比重1.023前後を急に変えず、60cmクラスの水槽で同種2匹までに絞ることが、失敗を避ける結論です。
特に大切な管理ポイント3つ
- 水温25℃前後・比重1.023前後を保ち、急に変えない
- 約1か月かけて立ち上げ、CB個体を時間をかけて水合わせする
- 同種は2匹までにし、クマノミの仲間とスズメダイ科は入れない
こういう人には特におすすめ
60cmクラスの水槽を置けて、毎日水温と餌の食べ方を確認できる人に向いています。2匹のペアの関係をじっくり観察したい人なら、6〜12年という長い付き合いも楽しめます。
まずは水槽を置く場所と、水温を保つ設備、海水の準備を整えるところから始めます。魚を迎える日は、立ち上げを終えてから決めて構いません。購入するショップには、種類・CBかどうか・水合わせの手順の3つを聞いておくと、迎える日が具体的になります。



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